実際のオフィススペースを持たず、ビジネス用の住所のみを借りる「バーチャルオフィス」というスタイルが注目を集めています。
一方で、バーチャルオフィスは伝統的なビジネスと比較して信頼を得るのが難しいという問題も抱えています。
今回は、
- バーチャルオフィスがなぜ信頼を勝ち取るのが難しいのか
- そしてその解決策にはどのようなものがあるのか
を、わかりやすく解説します。課題と解決策を確認することで、バーチャルオフィスを利用する際に対策ができるでしょう。
バーチャルオフィスオフィスが信用されにくい理由
結論から言うと、住所を貸し出すバーチャルオフィスは違法ではありません。それでもバーチャルオフィスが「怪しい」「違法ではないか」と、信用されにくい理由には以下のことが挙げられます。
- 実際のオフィスがない
- 安全性の問題
- コミュニケーションが難しい
- 真剣さが伝わらない
- 詐欺の影響
- 「貸し机」に対するマイナスイメージ
一つずつ見ていきましょう。
実際のオフィスがないから「怪しい」と思われる
会社に実際のオフィスがないと、一部の人々はその会社を「事業実態がない」と考えることがあります。
このように考える人は少なくありません。自分のオフィスを持っていることは、伝統的なビジネスでは一種のステータスだと言えるでしょう。
その半面、近年では「オフィスコストを抑えて、その浮いたコストをビジネスに回す賢い選択」と考える人もいます。
安全性に問題が生じやすいから
バーチャルオフィスを利用するビジネスは、必然的にオンライン上でのやり取りが基本になっていきます。そんなオンラインでの仕事は、情報の漏洩リスクを高める可能性があるため、警戒するビジネスパーソンが一定数存在します。
特に家などのプライベートな場所から仕事をすると、情報が外部に漏れる危険性が指摘されています。取引相手が大手になればなるほど、セキュリティ面での警戒が強くなります。
コミュニケーションが難しいため
インターネット上でのコミュニケーションは、顔を合わせて話すよりも誤解が生じやすいものです。
バーチャルオフィスはそんなオンラインビジネスに利用される機会が多いことから、この点で信用を得にくくなっています。これは、お客様や同業者との信頼関係を築く上で障害となることがあります。
インターネットが発展した現代では、オンライン上で会議ができるソフトも充実してきて、直接会って商談する必要性が減ってきました。
しかし、やはり直接会って話し合うことは信頼関係を築く上でに良い影響があります。事業によってはオンラインだけでなく、オフラインでの交流も求められるでしょう。
真剣さが伝わりにくいから
実際に店舗やオフィスを構える事業者と比較して、オンライン上のビジネスはあまり真剣に受け止められないことがあります。
と、強く信じる人たちが一定数いて、そういう層からするとコストやリスクを抑えて起業できるバーチャルオフィスは、その「真剣さ」に欠けると映るようです。
気軽・手軽にビジネスを始められるようになった昨今ですが、その半面すぐに事業を撤退する事業者がいるのも事実です。そのような層には、真剣にビジネスに向き合っていることを伝える対策が必要になるでしょう。
詐欺に対する警戒心
法整備が整っていない頃にバーチャルオフィスを利用した
- 振り込め詐欺
- 投資詐欺
- 出会い系サイトの詐欺
などが横行したことがありました。
そのため、バーチャルオフィスに対して詐欺グループとのつながりを警戒する人たちもいます。
現代では「犯罪収益移転防止法」という法律が定められていて、詐欺に利用されるケースは減りましたが、それでも警戒する層は一定数存在します。
「貸し机」に対するマイナスイメージ
1970年代(昭和)には「貸し机(貸しデスク)」というバーチャルオフィスと似たサービスがありました。
貸し机は小さなビルの一室を利用して住所を貸すサービスで、電話の受け答えなどもセットで提供されていました。その貸し机を利用していた人たちのほとんどが、身元を隠したい人たちばかりだったのです。
そのような歴史的背景がミームのように残っていて、特に伝統的なビジネスに重きを置いている層からは敬遠される理由となっている可能性があります。
信頼を築くためのポイント
これらの問題を解決するためには、次のような取り組みが効果的です。
- 信用できるバーチャルオフィスを選ぶ
- オープンな情報共有
- 情報保護の徹底
- 双方向のコミュニケーションが取れるようにする
- オンライン上で情報発信をする
- 理解ある取引先・お客とビジネスをする
信用できるバーチャルオフィスを選ぶ
信用面に不安があるバーチャルオフィスは、
- 過去に犯罪に利用された住所の可能性がある
- 突然運営元の会社が倒産・撤退することがある
などさまざまなリスクがあります。バーチャルオフィスを選ぶ際は信用面も重視しましょう。信用できるバーチャルオフィスを選べば胸を張って取引やビジネスができるかと思います。
銀行口座の開設が可能な住所である
犯罪に利用された住所の場合、銀行は法人口座の開設をためらうことがあります。そのため、公式HPで法人口座の開設について触れているかどうかは一つの目安になるでしょう。
本人確認や審査を実施している
バーチャルオフィスには犯罪収益移転防止法により
- 本人確認
- 事業目的
- 事業内容
を審査する義務があります。しっかり審査の実態があることは合法のバーチャルオフィスとして判断する基準となります。
オープンな情報共有に努める
自身の情報を透明に共有し、目標や活動内容をはっきりと伝えることで、人々の信頼を集めることができます。また、取引先に対してはあえてバーチャルオフィスであることを隠さないという選択もあります。
そもそもバーチャルオフィスは違法ではありません。そのため、後ろめたさ抱くことなく、
- バーチャルオフィスを利用していること
- どうして利用しているか(例:オフィスコストを抑えてビジネスに資金を回すため)
といった内容をしっかり伝えることが大切です。
情報保護の徹底
取引相手の情報を扱う機会がある場合はセキュリティ面にも配慮しましょう。
- 個人情報保護のセキュリティシステム・ウイルス対策ソフトの使用
- 公共Wi-Fiは使用しない(持ち運びできるWi-Fiを利用)
- 暗証番号を定期的に変更する
- ビジネス用の機器とプライベートの機器を分ける
- 誤送信防止
これらのことを徹底していくことが大切です。また、セキュリティ対策でどのようなことを実施しているか取引先やお客さんにしっかり伝えることも忘れないようにしましょう。
双方向のコミュニケーションが取れるようにする
取引先企業やお客さんが不安に思うのは「連絡が取れない」という状況です。誰なのか分からない相手に仕事を依頼したり商品を購入したりしたいとは思いませんよね?
だからこそ、あなたのプロフィールを公開するのはもちろん、必要に応じて相手からこちらに問い合わせや相談ができる窓口を作ることも大切です。
- 問い合わせフォーム
- 固定電話番号
- Q&Aページ
などを設置して双方にコミュニケーションが取れる状態にしておきましょう。
相手がバーチャルオフィスに対する誤解を解く機会を持てるようにしてあげましょう。
オンライン上で情報発信をする
あなたの名前や法人名でネット検索した際に、
- 公式ホームページ
- 公式ブログ
- SNS
が見つけられる状態にしておきましょう。信用できる事業実態があることをアピールすることで、取引や購入に対する心理的ハードルを大きく下げることができます。
理解ある取引先・お客とビジネスをする
くり返しにはなりますが、バーチャルオフィスは違法ではありません。それでもバーチャルオフィスに対してネガティブなイメージを持っている人は一定数存在します。
警戒している人を説得するのは骨の折れる作業です。それなら、最初は理解ある取引相手やお客さんを中心にビジネスを展開するようにしましょう。
そこで実績を上げることができれば、それまでバーチャルオフィスに対してネガティブに考えていた人と交流できる機会があるかもしれません。最初から高望みするのではなく、段階的に理解ある人たちとのビジネスに注力してみましょう。
まとめ~バーチャルオフィスはまだまだ「新しい起業法」~
バーチャルオフィスは、新しい働き方として多くのメリットをもたらしてくれますが、それと同時に一部の層に対しては信頼を得るための挑戦も伴います。極端にネガティブなイメージを持つ人もいることでしょう。
しかし、透明性を保ち、コミュニケーションを大切にし、そして安全性を確保することで、この新しい働き方でも確固たる信頼を築くことが可能です。
柔軟に変化に対応し、これらの対策を講じることで、バーチャルオフィスはこれからも更なる発展を遂げていくことでしょう。
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