バーチャルオフィスには審査がある!
そう聞いて不安になった方もいらっしゃるでしょう。
けど安心してください。
バーチャルオフィスの審査はそれほど厳しいものではありません。もちろんバーチャルオフィスによって審査の基準はまちまちですが、法律に触れることがなければほとんどの場合は審査は通るでしょう。
基本的な審査の内容
とは言ってもどんな風に審査が進むのか気になりますよね?
バーチャルオフィス運営会社は、犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)で「特定事業者」に指定されています。
この特定事業者に指定された人は以下の規則に則って、顧客の情報を確認しなければなりません。
(取引時確認等)第四条一 本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)二 取引を行う目的三 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容四 当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項
ざっくりまとめると以下のようになります。
- 本人確認(住所・指名・生年月日など)
法人の場合はそれに加えて会社の名称と本店の所在地 - 事業目的(バーチャルオフィスを利用する目的)
- 個人:職業
法人:事業内容 - 法人:実質的支配者(※)の情報
※実質支配者とは経営決定権を持つ人(必ずしも社長や事業代表者ではない)。定義としては法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる人(参考)
この審査項目は法令により義務づけられています。架空の住所を申し込んでいないか確認するため、契約書などを転送不要の郵便で記載された住居に送ることも定められています。
その上でバーチャルオフィスごとに独自の審査基準を設けていることがあり、書類上では問題がなくても、運営会社の基準を満たせないために審査落ちするケースもあるので、しっかり確認することが大切です。
バーチャルオフィスを利用できない業種も存在する
バーチャルオフィスには、オフィス空間の実態を持たないという観点から利用が禁止されている業種があります。以下はその例です。
- 士業(税理士、弁護士、司法書士、行政書士)
- 古物商
- 有料職業紹介業
- 人材派遣業
- 宅地建物取引業
- 金融商品取引業
- 産業廃棄物収集運搬業
- 風俗業
これらの業種は法律でバーチャルオフィスの利用が禁じられています。
バーチャルオフィス運営会社が契約を「嫌がる」業種
また、バーチャルオフィスの運営会社が自社の信用のために契約を避ける業種もあります。以下は運営会社が嫌がる業種を紹介します。ただし、必ずしもこの業界だから契約できないとは限りません。
アダルト関連、ギャンブル、ネットワークビジネス(マルチ商法)、情報商材販売、出会い系サイト、ナイトワーク、麻薬、政治系団体、宗教団体、労働組合活動をする団体、暴力団、他
バーチャルオフィスは複数の事業者と住所を共有しているため、一つの事業主・法人が問題を起こすと、周囲にも迷惑をかけることになるでしょう。
そのようなことから、活動目的が不明瞭な団体や反社会的勢力に近い業種が避けられる傾向があります。
バーチャルオフィスの審査に落ちる6つの理由
ここからはバーチャルオフィスの審査に落ちる主な理由を紹介します。
バーチャルオフィスの審査は厳しくないとはよく言われますが、油断すると思わぬ理由で審査が通らない可能性がありますので、しっかり確認していきましょう。
理由① 申し込み内容に不備がある
バーチャルオフィスに申し込む際は、
- 名前や生年月日
- 住所
- 電話番号・メールアドレス
- 事業内容
- 代表者
- 資本金
- 他
と、さまざまな情報を入力していきます。
しかし、その内容に間違いがあると、虚偽扱いされることがあり、結果的に審査に落ちる可能性があります。
そのため、情報を入力後は必ず見返して間違いがないか確認するようにしましょう。
理由② 提出書類に不備・不足がある
理由①と近い内容ですが、契約する上で提出する書類に不備や不足があると、それが原因で審査落ちするケースがあります。
そのため、以下のような点を気をつけましょう。
- 書類が古くないか(日付や有効期限切れをチェック!)
- 間違った書類を出していないか
- 信用性の低い書類を選んでいないか
- 提出を求められている書類はそろっているか
近年ではオンライン上で本人確認を済ませるeKYC(electronic Know Your Customer)というシステムを使用する運営会社も増えてきました。オンラインで本人確認が完結するため、早ければ即日審査と契約できるケースもあります。
手軽に本人確認ができるからこそ、逆に気が緩んで不備につながりかねないので、日付や有効期限、内容をしっかり確認しましょう。
eKYC以外の方法で本人確認する運営会社も少なくない
一部バーチャルオフィスでは、
- eKYCの導入が進んでいない
- あえてeKYCを使わない
という会社もあります。
そのようなバーチャルオフィスは、簡易書留などで住居を確認することがあるので、受け取りとその後の対応も忘れずにしましょう。
理由③ 事業内容が不明瞭または問題がある業種
先に紹介したように、バーチャルオフィスには
- 契約できない業種
- 避けられる業種
があります。そのような業種の方は審査が基本的に通りません。
クレームが付きやすい業種(情報商材、投資関連など)も避けられる可能性があります。
また、内容が不明瞭な業種と判断されると契約が見送られる可能性がありますので、できる限り明確な内容を伝えるようにしましょう。
「特別悪いことはしていないけど、事業で売り上げがでていない、利益がないと審査に落ちるのではないか?」と不安になることもありますよね?
けど、実際は事業の売り上げや利益はそれほど審査に影響しないようです。多くのバーチャルオフィスが「事業実績や販売実績がなくても問題ありません」と言っています。
それよりも虚偽や不正、法律に触れる要素があるかないかのほうが重点的に見られると考えましょう!
理由④ 虚偽の内容を申し込んでいる
申し込み内容に虚偽の情報があると、まず審査落ちすることは間違いないでしょう。
- 名前
- 住所
- 事業内容
などに虚偽があってはなりません。
理由⑤ 反社会的勢力とつながりがある
反社会的勢力とのつながりを確認すいわゆる「反社チェック(コンプライアンスチェック)」に引っかかると審査落ちする可能性が高くなるでしょう。
- 暴力団
- 暴力団関係企業
- 総会屋
- 社会運動標榜ゴロ
- 特殊知能暴力集団
- 半グレ集団
- 他
自分では真っ当な事業をしているつもりでも、取引先の団体・企業が反社会的勢力と判断される可能性もあります。
理由⑥ 連絡が付かない・連絡が取りづらい
申し込みした担当者と
- 連絡が付かない
- 連絡が取りづらい
といった場合は、信用問題に関わるため審査落ちすることになります。
また、たとえ連絡がとれたとしても
- うまくコミュニケーションが取れない
- 担当者の対応が雑である
- 高圧的な態度である
- 審査担当者の質問に答えられない
といった理由から審査落ちさせるバーチャルオフィスもあります。そのため、聞かれても困らないように準備しておくことが大切です。
まとめ
バーチャルオフィスの審査は厳しくはありません。
法令に触れるようなことをせず、まっとうな生活を送っているなら審査落ちすることはまずないでしょう。
しかし、ちょっとしたミスが原因で審査に悪影響を与えることにもなりかねません。だからこそ、油断せずにしっかり準備してから申し込むようにしましょう。