バーチャルオフィスは住所を借りられる点から、住所を知られず自宅で起業したい方や会社の新たな拠点にしたい方など、さまざまな用途に利用することができます。
しかし、とても便利な反面、特殊詐欺やマネーロンダリングといった犯罪に利用されるリスクもあるため、犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)によりバーチャルオフィスを契約するには審査が義務付けられています。
審査を受けるためには必要書類の提出が求められます。そこで今回は実際に多くのバーチャルオフィスが審査で採用している必要書類を紹介します!
申し込む前に必要書類を用意しておけばスムーズにバーチャルオフィスを契約できるでしょう!
バーチャルオフィス必要書類の例
バーチャルオフィスを申し込むのが「個人」か「法人」かによって提出する書類は違うので注意しましょう。
対象 | 提出書類例 |
---|---|
共通 (個人・法人) |
代表者確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど) ※基本的に顔写真付き。ない場合は追加で書類提出を依頼されることも |
個人 | 現住所がわかる書類(住民票が多い)、印鑑証明書など |
法人 | 登記情報(登記簿謄本 履歴事項全部証明書)、印鑑証明書など |
これらは犯罪収益移転防止法の「本人特定事項」に当たり、
- 氏名
- 生年月日
- 住居
- 本店または主な事務所の所在地(法人の場合)
を確認するための書類として扱われます。
個人・法人共通の必要書類
個人法人問わず必要になるのが
本人確認書類
です。
身分証明書や代表者確認書類とも言われ、現住所が記載されたものを提出します。スムーズに審査を進めたければ顔写真付きのものが望ましいです。
顔写真あり
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード(通知カードは不可)
- 住民基本台帳カード(写真付き)
- 身体障害者手帳
- 小型船舶免許証
顔写真なし
- 保険証
- 国民年金手帳
- 住民票の写し(現住所記載のもの)
- 私立学校教職員共済制度の加入者証
- 在留カード・特別永住者証明書
顔写真がない本人確認書類しか持っていない場合は、もう1種類本人確認書類を提示するか、以下のような「補完書類」の提出を求められます。
- 国税又は地方税の領収証書または納税証明書
- 社会保険料の領収証書
- 公共料金の領収証書(電気・ガス・水道料金など)
いずれも現在の住居の記載があり、発行年月日が6カ月以内のものに限られます。信用を得るためにも直近の書類を提出するようにしましょう。
バーチャルオフィスの運営は「事業実態」をとても気にします。その関係から個人・法人ともにホームページがあると審査が有利に働く可能性があります。事業実態を証明する一つのバロメーターになるからです。
ただし、バーチャルオフィスを契約するために急いで作ったホームページだと、逆に不信感を抱かせてしまうこともあるでしょう。突貫的なホームページではなく、しっかりビジネスと関連したページを見せるようにすることが大切です!
個人(個人事業主)の必要書類
個人の場合は本人確認書類のみで審査が進むことがほとんどです。
ただしバーチャルオフィスによっては、以下のような書類も一緒に提出するよう求められることもあります。
- 住民票の写し(発行から3カ月以内)
- 個人の印鑑登録証明書(発行から3カ月以内)
- 事業計画書
将来的に法人化を目指す場合に提出が求められるケースが多いです。事前に必要書類を確認してしっかり準備しておきましょう。
法人の必要書類
法人がバーチャルオフィスを利用する場合には、提出する書類が少し増えます。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)(発行から6カ月以内)
※履歴事項全部証明書と表記されることもあります! - 法人の印鑑登録証明書(発行から6カ月以内)
本人確認書類の注意点
法人の場合は「実質的支配者」の本人確認書類が必要になります。
「実質支配者」とは、経営決定権を持っている人物のことです(法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有している人とも言われます)。
例えば以下のような人のことを言います。
- 代表取締役
- 大株主(株式などの議決権の多くを有している人物)
- 大口債権者(持っている債権額(請求できる金額)が大きな債権者)
- 創業者
必ずしも社長ではない点に注意が必要です。
法人で契約しようとお考えの方は、代表者以外の人が申し込みと契約作業を担うケースもあるでしょう。そんな法人の代表以外の人が代理人という立場で契約をする場合は、
- 代理人の本人確認書類
- 委任状
- 法人への所属を証明できるもの
も一緒に提出することになります。
最短契約「WEB申し込み」のコツ!
できるだけ早く契約をしたいのなら、WEB申し込みを選びましょう!
近年ではネット環境さえあれば書類の提出と審査ができるeKYC(オンライン本人確認)というシステムを導入しているバーチャルオフィスも増えてきました。
そのため、個人での申し込みであれば、早ければ当日中に契約を終わらせることも可能です。法人の場合でも申し込み住所に「現住所確認用の転送不要郵便」が届き次第契約が完了できるので、すぐにバーチャルオフィスを活用してビジネスを展開できます。
ここでは最短で契約を終わらせるためのポイントを
- Web申し込みに対応しているバーチャルオフィスを選ぶ
- 必要書類をそろえておく
- 午前中に申し込みを終える
と3つに分けて紹介します。ポイントを押さえてスムーズに契約を進めましょう。
そもそも契約ができない業種あり!
バーチャルオフィスには犯罪収益移転防止法の観点から、そもそも契約ができない業種があります。また、それとは別にバーチャルオフィス側が契約を避ける業種もあるので、あらかじめ把握しておきましょう。
契約できない業種例
士業(税理士、弁護士、司法書士、行政書士)、古物商、有料職業紹介業、人材派遣業、宅地建物取引業、金融商品取引業、産業廃棄物収集運搬業、風俗業など
ポイント① Web申し込みに対応しているバーチャルオフィスを選ぶ
すべてのバーチャルオフィスが最短で終わるWeb申し込みに対応しているわけではありません。
「eKYCの導入が遅れている」「厳正な審査をするためにあえてWebで完結させない」など、それぞれに理由がありますが、Web完結できないのであれば郵便物のやり取りが多くなり、結果的に審査・契約まで時間がかかるでしょう。
気になっているバーチャルオフィスがWeb申し込みに対応しているか確認しましょう。
法人の場合は申し込みはWebでできても、住居確認(登記住所)は転送不要郵便で実施することになります。この場合は住居確認の転送不要郵便が届くまでバーチャルオフィスの利用はできません。法人で申し込む方は数日待つ必要が出てくるので注意しましょう。
ポイント② 必要書類を集めておく
提出する必要書類は手元に準備しておきましょう。Web完結の場合、書類を画像データにして提出することになります。
申し込むバーチャルオフィスによって、採用しているeKYC(オンライン本人確認)のソフトは違いますが、今はスマートフォンで顔写真や書類を撮影するのが主流です。
指示されたその場ですぐに書類を用意して撮影できるようにしておきましょう。
マイナンバーカードをお持ちの方はコンビニで
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
といった必要書類を発行することもできます。毎日6:30から23:00まで対応できるので、わざわざ役所の時間を気にする必要もありません。
ポイント③ 午前中に申し込みを終える
バーチャルオフィスの申し込みから契約までのプロセスで、一番時間がかかるのは「審査」です。最短で契約をしたいのなら、できるだけ早く審査へと移行することが大切です。
Web申し込みから契約までの大まかな流れ
- 申し込みフォーム入力 約5~10分
- 必要書類提出 約5~10分
※追加書類がある場合はさらに時間がかかります。 - 審査 即日~4営業日
- 契約手続き 約10分
- 利用開始
午前中に申し込みと必要書類の提出を終わらせることができれば、審査へとスムーズに移行できるでしょう。
逆に申し込む時間が遅いと、運営会社の営業時間内に審査が終わらないことがあります。それだけ契約までの時間が遅れることになるでしょう。
必要書類は事前にしっかり確認する!
ここで一つ注意点があります。
それは
バーチャルオフィスごとに
求められる必要書類が少しずつ違う
ということです。
今回紹介したのは一般的な必要書類ですが、中にはもっと多くの情報を提供するよう求められるバーチャルオフィスもあります。
そのため、申し込む前には必ずそのバーチャルオフィスの必要書類を確認するようにしましょう。そして内容の間違いがないかをチェックしてから提出するよう心掛けてください。